釣りやサーフィン、音楽など多岐にわたる趣味をお持ちの河崎 覚(かわさき さとる)さん。
中学生の頃から旅が好きで川に住み込んで魚を釣って生活するなど、その経験の豊富さにインタビュー中、編集部も終始楽しくお話を聞かせていただきました。
パンチアウトコロナの影響で、ライブハウスを筆頭に音楽業界の危機を感じている方も多いと思いますが、河崎さんはこのような状況に、最新の技術や知恵を駆使すれば「新たな楽しみ方を築けるのでは」とアイデアを聞かせてくださいました。
新卒で入社した3ヶ月後にドイツ行きが決定
ーまずは河崎さんの生い立ちやご経歴について聞かせてください。
河崎:もともと音楽が好きで、幼少期からヴァイオリンを習ったり、他にもギター、歌にダンスなどいろんな音楽をやってました。
旅が好きだったので、中学生の頃は学校に行かず川で釣りをして1週間ぐらい生活したり、茅ケ崎にあったボーリング場の軒下で野宿しながらサーフィンしたりしてました。
卒業後は「自分で好きなことをやってご飯を食べたい」と思って、工業高校にいきました。
はじめに入社した会社は「TEAC株式会社」というオーディオ機器の会社です。音楽に携わりたかったんですが、音楽機材の仕事は全然やらせてもらえなくて。でも入社して3ヶ月後にたまたまドイツのSIEMENSさんで自社製品の不具合が起きて、その部品を搭載していたパソコンを修理しに行くことになって、ちょうどベルリンの壁を壊し始めた時期(プーチンさんがKGBとして東ドイツに駐在していた時期)にドイツに赴任することになりました。
当時は会社にもどこにも技術的な話を聞ける人がいないから、自分で解体して分解して、やってみて、組み立て直しての繰り返し。音楽機器の仕事はできなかったけど、おかげでパソコン関連のハードウエアー技術に詳しくりました。
ドイツ語は全然喋れなかったけど、アウグスブルグにたまたまパコ・デ・ルシアが演奏しに来ていたり、モーツアルトの父上の生家を訪問したり、おかげで好きな音楽や歴史に触れたりできて、いい経験でしたよ。
そのあとミュンヘンからデルタの直行便でアトランタに飛んで、車で二時間かけてノースキャロライナのNCRさんのパソコンを修理をしたり、アジア各国の工場立ち上げに携わったり、本当にいろいろやらせて頂きました。
いまは「パソコン駆け込み寺 三晃堂SKD NETWORK」でパソコンの対面修理とデータ復旧をおこなっています。
河崎さんの現在のお仕事「パソコン駆け込み寺」
ー現在活動されている「パソコン駆け込み寺」について詳しく聞かせてください。
河崎:2010年からはじめました。
HPで検索して依頼してくる人もいるけど、受注はほとんど知り合いの紹介でやってます。今回パンチアウトコロナを知るきっかけにもなった永江さんのブログを読んでお越しになる方が多いですよ。
データ復旧は通常、高額になります。「大切なデータが急に消えてしまった」とか緊急性の高いものなので、ユーザーもよく調べず、すぐに見てくれて早く見つかったところに依頼してしまうので、技術的な相場も分からず、大切なデータの入ったハードディスクを無料診断を受け付けている業者さんに送ってしまった後で高額請求されたり、冷静な判断ができないんですよね。
「パソコン駆け込み寺」では
- 最初から値引きできるようないい加減な価格設定をしない
- 困っている人の心を弄んだり、錯覚させたり脅かしたり脅迫するような行為を一切しない
という理念をもってやってます。
ーSNSや知り合いづてだけでお仕事されてるのは、お互いに信頼できて、適正な価格で受けている証拠とも言えますね。「パソコン駆け込み寺」で思い出深いお客さんはいますか?
河崎:イギリスの人で、奥さんが日本人で来日する予定があって、データ復旧の依頼があった男性がおもしろくて。
楽器で遊んでる60代くらいのお客さんだったんですけど、自分も楽器をやってたからすごく話があったんですよ。その人はその後、来日中の「ローリングストーンズ」のチケット余ってるから一緒にいこうよ、って誘ってくれたりプライベートでいい付き合いができておもしろかったな。
あとは、非営利活動法人として公共スケートボード場の設計をさせていただいたとき。海外にいる期間が長かったからスケートボード場には詳しかったけど、なんせ公共工事用の図面がかけない。
そんなとき、たまたまデータ復旧で設計士の男性がきたんですよ。結局データ復旧自体はお役には立てなかったんだけど、スケートボード場の図面を描いて欲しい、ってそのままお願いすることになりました。
ーデータ復旧の依頼は、システム上全て直せるとは限りません。
当店と同じように、適正な技術金額相場でデータ復旧をしている業者に依頼する秘訣は “お互いの信頼関係” が全てです。どちらにしてもコミュニケーションがしっかりと取れれば、後悔することもありません。万が一の時は河崎さんに修理依頼をしたいところですが、完全予約制でお一人ずつ丁寧に対応したいということなのでまずは予約してくださいね。
フルコンクリートの公共スケートボード場の設計提案
ー公共スケートボード場の立ち上げに関わられたんですね。何かきっかけがあったんでしょうか。
河崎:今でこそスケードボートパークはいくつかできたけど、日本でできる場所はとても限られます。昔はアスファルト舗装された田んぼの横の道でやったりしてよく怒られた笑
海外では道路でできる地域もあるけど、日本ではストリート文化が根付くのは難しいと思う。
だから、有料でもいいからちゃんとスケートパークを作りたかった。
例えば理想形としては、スケボーする人がいて、その横でおじいちゃんおばあちゃんが散歩してて…っていう多様性があって、かつ怪我しないで共存できる公園が将来できたらなって思って今も日本各地の公共スケートパーク建設に関わっています。
NPO法人立上げの2009年当時は、まさかオリンピックで競技採用されるとは思ってもみなかったけど、すごく楽しかったです。今は日本全国に少しずつ公共スケートパークが増えてきたので、機会があれば見学だけでも是非行ってみてほしいです。
ー河崎さんが携わったスケートパーク 「戸吹スポーツ公園スケートパーク(愛称:プラネットパーク)」は2011年にグッドデザイン賞を受賞されています。
ライブハウスの代わりに生音に触れられる機会を作りたい
ー河崎さんが今後やってみたいことについても伺ってみました。
河崎:コロナウィルスが原因で全国のライブハウスが困難な状態に立たされていますが、今後騒動が収まってもしばらくは再開が難しいと思います。
だから、VRの技術を活かして新しいライブハウスの形態を作りたいなと思ってます。
舞台で演奏してる動画をVRで撮影して、客席の位置にお客さんに見立ててロボットを置くんです。
客席の位置によって金額が変わるようにして、視聴権を買ってもらうっていうシステムです。
ライブの生音って、血液の躍動や骨や皮膚の振動とか、臨場感を感じられるのが魅力だし、それを体感したことのない人にも是非味わって欲しい。
30分〜1時間とかのライブで、3,000円とか5,000で買えるように作れたらなって。
VR映像のカメラとか構造さえできれば、演者さんの繋がりはたくさんあるので、実現させたいです。
コロナウィルスにより、今後様々なサービスのあり方に変化がありそうですね。河崎さん、今回はご支援・インタビューをお受けいただきありがとうございました!