天王寺区の動物病院で働く宇佐美さんですが、商店街巡りが趣味で通い詰めているうちに空きテナントを見つけ、クリニックとカフェを併設させたお店「のあのあ」を7月22日にオープンすることになりました。のあのあは大阪市生野区にある「いくのほんど~り商店街」にあります。
保護猫に触れ合う環境を作ることで、動物を好きになってもらい里親を探すきっかけになればとお話を聞かせてくださいました。
ーまずは宇佐美さんのご経歴を教えてください。
宇佐美:小学1年生の頃から「保護猫を助けたい」というのが目標で獣医師を志ました。生まれは大阪ですが、獣医学を学ぶために東京に6年間上京しました。
卒業後2年間は外資系のキャットフードなどを販売する企業でマーケターとして働きましたが、結婚、出産を機に動物病院を開業することになりました。
数年して病院も落ち着いて子供も少し手が離れるようになったため、もともと夢だった保護猫活動に携わりたいとのあのあを立ち上げました。
ー宇佐美さんにとって、商店街の魅力はなんでしょうか。
宇佐美:散歩が好きで、休日は家の周辺を探索して楽しんでいました。今は天王寺に住んでいますが、少し足を伸ばして生野区に来てみたところ「いくのほんど~り商店街」を見つけました。とても古めかしくて、面白みを感じました。
商店街の中にさらに古い商店街があったり、「疎開道路」という名前の道があったりするんです。
商店街自体は全長1kmほどで、布団専門店や甘党のお店などがあり、1軒ずつ入ってみるのが面白いんです。
もともとマーケターというのもあり、あのお店はいつも人が入っているなとか、客層はこんな感じなんだなとか考えながら見て回るのが好きなんです。
あとは商店街のオリジナル商品が売っていたりして面白いですよ。夏にはだんじり祭りも開催されています。
商店街は街の人同士のつながりが強く、商店街愛に溢れているので、のあのあをオープンするにあたっても、街の不動産屋さんや建設業の方も昔から住んでいる方が「商店街を盛り上げて欲しい!」と協力してくださいました。
ほんど〜り商店街の様子
ーのあのあをオープンした経緯を教えてください。
宇佐美:動物病院に勤務する中で、飼い主の方とのコミュニケーションに課題を感じていました。
時間の関係で診察後に話をじっくり聞くことができなかったり、飼い主さん自身もクリニックだと緊張して話しにくいのでは…という場面が多いのです。
だからのあのあは保護猫活動のためだけでなく、動物病院で診察中に相談できなかったような話を聞く場として来てもらえるようにカフェを併設することにしました。
ー日本の保護猫について、問題だと思う点はなんでしょうか。
宇佐美:1つ目は、排泄物などが道端に散乱するので、住民が汚いと嫌悪感を抱いてしまうことです。
2つ目は、無責任に餌をあげ続ける方がいることです。野良猫は避妊をしていないため、飼い主のいない猫がどんどん増えていってしまうのです。街に猫が溢れてしまうことで、車に轢かれて亡くなってしまう子猫が増えたり、動物好きの住民ばかりではないので不本意に嫌がられてしまう、という点は、猫にとっても不幸かなと感じます。
今後の保護猫活動について、一人で何十匹もみることはできないので、2〜3匹をNOANOAで保護しようと思っています。街の人に触れ合ってもらい、気に入ったら猫ちゃんを受け入れる条件を満たした上で連れて帰ってもらうという里親探しも兼ねています。
動物が身近にいないという子供たちも多いので、触れ合って動物を知り、好きになってもらうきっかけになればと願っています。
ー2020年6月にオープンしたのあのあについて、宇佐美さんに詳しく聞いてみました。
のあのあは
- 保護ねこさんと遊べる場所
- ことりのサロン
- ことりのクリニック
の3つに分かれています。
【保護ねこさんと遊べる場所】
猫さんのかわいさを味わってもらったり、保護した猫さんを支援してもらったり、里親さんに引き合わせる役割を担います。
【ことりのサロン】
本業である動物病院で獣医師として仕事をしていますが、もっと話したい、もっと知りたい、病気の知識をつけたい、高齢でもう次の子を迎え入れることはできないけれど動物病院での繋がりが心地よかったなどペットオーナー様の憩いの場、お喋りの場等の役割があります。ことりさんを連れて寄っていただけるように工夫をしています。
レトロな商店街にはおいしい和菓子、良質な食材、ユニークなお店がたくさんありますよ。
「のあのあ」に来るまでの商店街散策を是非お楽しみいただきたいと思っています。
地域の皆様、さらには遠くからのお客様にこのレトロ素敵な商店街を知っていただきたく楽しんでほしいという思いから一般の方に向けた喫茶店も営みます。
食材はできる限り商店街産にこだわります。
◆カフェ こどもの日
月1で学校や家に居場所のないお子さんもそうでないお子さんものあのあのおとなな空間で会話と飲み物を楽しむ日を開催します。何が起こるかはまだ分かりません?!
◆カフェ もふもふの日
月4で哺乳類、鳥類などもふっとした生き物が好きな人のみ入店できる日です。鳥連れさん可です。ただし健診済、ケージ、ケージカバーありでご来店ください。
【ことりのクリニック】
ことりちゃん専門の動物病院です
日々のお世話やごはん、病気の治療。
病院に来る前のハードルを下げるための活動をしています。
病院にはどんなルートでどんな入れ物で行けばいいか。準備しておいた方がいいものは何か。などことりちゃんを連れておうちを出るだけでも心配でいっぱいな方の為に病院にかかる前の練習の場所を提供しています。
飼い主さんとことりちゃんがのあのあまでお出かけできるようになったら、病気になった時にためらいなく受診できるので早期発見に繋がると考えています。
薬だけではなく行動療法も取り入れながらことりちゃんにも飼い主さんにもやさしい病院を目指しています。
当初は少人数で回していくため3セクションフル稼働はできません。ぼちぼちやっていきたいと思います。是非とも商店街に足をお運びいただき、すてきな雰囲気を味わってみてください!
ー宇佐美さん、ありがとうございました!
NOANOA(のあのあ)/ ことりの病院/ ことりのサロン/ 保護ねこと遊べる場所/
大阪府大阪市生野区生野西4-22-17
06-6777-8406
いくのほんど~り商店街の中
JR環状線寺田町駅北口から徒歩10分ぐらい
大阪市バス林寺一丁目下車 徒歩3分
連絡先 ツイッター @NOANOAvetcafe
オープン 2020年7月20日
獣医師 宇佐美 れいな
- 日本獣医畜産大学卒業
- 現夕陽丘動物病院勤務
- 現職にて鳥類の愛らしさに魅せられ鳥類も大好きに
- 大学時代は魚病学教室にて真菌・細菌について研究していた